ポンドフラン(GBP/CHF)でEAを稼働してみた実践レビュー

ポンドフラン(GBP/CHF)はマイナー通貨ペアでありながら値動きが大きく、EA運用の対象としても注目されています。しかし、実際に稼働させるとどのような結果になるのか、不安に思う方も多いでしょう。本記事では、EA自動売買の専門家が実際にGBP/CHFでEAを1か月間稼働させた結果をリアルにレビューします。収支やメリット・デメリットを詳しく解説するので、導入を検討している方の参考になるはずです。


ポンドフランをEAで運用する意義

ポンドフランは英国ポンドとスイスフランの組み合わせで、ユーロ圏や英国の経済動向に影響を受けつつ、安全通貨とされるフランの特性も加わるため独特の値動きをします。一般的に流動性はメジャーペアほど高くありませんが、その分トレンドが一方向に伸びやすい傾向があり、EAにとっては「シグナルを捉えやすい通貨ペア」といえます。

ただし、スプレッドが広がりやすく、突発的な変動が起こりやすい点はリスク要因です。EAのロジックによっては相性が大きく分かれるため、GBP/CHFでの運用は「リスクを承知の上で利益機会を狙う戦略的な選択」となります。


実際に使用したEAの概要と設定条件

今回稼働させたのは、トレンドフォロー型のスイングEAです。時間足は4時間足を基準にし、移動平均線とRSIを組み合わせたシンプルなロジックで売買を判断します。1回あたりの利確幅は100〜150pips、損切り幅は70〜100pipsに設定しました。

運用環境はMT4を利用し、24時間稼働を安定させるためにVPSを導入しました。初期証拠金は10万円、ロットサイズは0.05ロットとし、1回の損失が証拠金の2%を超えないように資金管理を徹底しました。このように「資金を守りつつリターンを狙う」バランスを重視して条件を設定しています。


1か月間のトレード実績と収支

1か月間で発生したトレードは合計22回。そのうち勝ちトレードが14回、負けトレードが8回となり、勝率は約64%でした。平均利益は+120pips、平均損失は−85pipsで、最終的な収支は+720pips、口座残高ベースで約+14%の増加となりました。

収支としては満足できる結果でしたが、トレードの推移を見ると「月前半は連勝で利益を積み上げ、後半は連敗で一時的に利益を削られる」という波がありました。EAは機械的に取引を続けるため、感情的に停止させたくなる場面もありましたが、ルールを守った結果、最終的にプラスで終えることができました。


運用して感じたメリット

ポンドフランEAを使ってみて、まず感じたメリットは「トレンドの値幅をしっかり捉えられる」ことです。GBP/CHFは方向性が出ると一気に大きく動くため、損切り幅よりも利確幅を大きく取る戦略と相性が良く、リスクリワード比が優れたトレードが多くありました。

また、取引回数が1日あたり0〜2回程度と少なめだったため、スプレッドや手数料の負担が小さかった点もプラス材料です。頻繁に売買するスキャルピングEAに比べると、安定感と効率性の両立が可能だと感じました。


明らかになったデメリットと課題

一方でデメリットも明確になりました。最大の課題は「急変動リスク」です。スイスフランは安全通貨として買われやすく、地政学的リスクや金融不安が起きると突発的に急騰・急落するケースがあります。実際、1回のトレードで想定以上のスリッページが発生し、損切り幅を超える損失が出る場面もありました。

また、流動性が低めなため、スプレッドが広がる時間帯にはエントリーが不利になることもありました。EAを設定する際には「取引時間帯フィルター」や「最大スプレッド制御」などを追加し、リスクを軽減する必要があると感じました。


バックテスト結果との比較

今回のEAは過去10年分のGBP/CHFデータでバックテストを行っており、年平均利回りは12〜15%程度でした。実際の1か月運用結果も+14%とバックテストに近い成績となり、信頼性を確認できました。ただし、バックテストではスリッページや変動スプレッドを完全に再現できないため、実運用での誤差は避けられません。

今回のケースでは幸い大きな乖離はありませんでしたが、常に「バックテストより実運用の方が厳しい条件になる」と認識しておくことが重要です。EAを選ぶ際は、バックテストの数字だけでなく、フォワードテストの実績や利用者のレビューも確認すべきです。


今後の改善点と運用方針

ポンドフランEAをさらに安定して運用するために、次の改善策を検討しています。

  • 指標発表前後は自動停止するニュースフィルターを追加する。
  • 複数通貨ペアのEAを組み合わせ、リスク分散を図る。
  • 含み損が一定期間を超えた場合の決済ルールを導入する。

これらを組み合わせることで、突発的な急変動やレンジ相場に弱いという課題を補い、より安定した長期運用を目指せると考えています。


まとめ|ポンドフランEA運用のリアルな結論

今回の1か月間の運用で、ポンドフランEAは確かに利益を生み出せる可能性を持つことが確認できました。しかし、それは「急変動リスクを理解し、資金管理を徹底する」という前提があってこそです。初心者がいきなり大きな資金を投入するのは危険であり、まずは少額で試し、収支やEAの挙動を自分で確かめることが大切です。

結論として、ポンドフランEAは「トレンドを狙う戦略」に強みがあり、リスクリワード比を重視する投資家には魅力的です。ただし、リスク回避策を講じなければ大きな損失につながる可能性もあります。導入を検討する方は、バックテストやデモ運用で十分に検証し、自分の投資スタイルと相性を確かめてから本格的に稼働させるのが最適解です。

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